このページは伺かアドベントカレンダー第2会場の11日目の記事になっております。
著者は「だぶる×ついんず」シリーズの作者である北本椿です。
・この記事を読む前に
一つ前の記事はInfy様の急に思い立ったのでフリーシェルを作った話です。昨日の分を読んでいない人は先に読んでおきましょう。
後、8日目には「だぶる×ついんず」「ナニ様!ボク様!ミタハ様!」のフリーシェルの作者様である吉野桜様が執筆された記事であるフリーだけどフリーじゃないフリーシェルの話が公開されているのでこちらも読んでおきましょう。
ちなみにここから下には貴様の伺かライフにおいて有益なことは一切書いていない。
・はじめに
今回はアドベントカレンダーへの寄稿と言うことで何について書こうか悩んだのですが今回は『女神』の設定をどういう経緯で作るのに至った、またどういうコンセプトで作ったのかを話そうと思います。徹頭徹尾私のゴーストのお話しかしないので伺かゴーストの作り方など役に立つことは無いことは圧倒的な自信を持ってお約束いたします。
私のゴーストをダウンロードしていない方でもご理解いただけるようにこちらで解説しております(別記事に飛びます)のでもしご存じない場合にはそちらの記事を参照して下さい。
・『女神ミーミル』を作るに当たって
それでは最初はだぶる×ついんずシリーズの主人公であるハルキこと『女神ミーミル』の設定を作るにあたった理由の説明です。
「だぶる×ついんず」を作るに当たって根幹にあるバックストーリーとして「幼なじみのヒサギとハルキがヒーローとヴィランという形で一度は離別するが、最後には親友に戻れる」のは自分の中で確定させており、「ハルキがヴィランになるのにふさわしい理由」が必要になりました。
一応最初の想定では「ハルキが能力を暴走させて傷害事件を起こして退学する」という流れだったのですがそもそもハルキは傷害事件を起こして逃げるような性格はしていないことに気がつき途中でボツになりました(そもそもこの設定ではセッションに参加した全員が納得した上でハルキが更正して出てくる流れが作りにくいのもありました)。
最終的にはゴーストにある通りハルキは自分は人間では無い何かであることに気がつき、そこで本来の能力を解放した結果自分もろとも地球全土の超人力が暴走(進化)してしまう流れになりました。そしてヒサギは仙狐のため社会的に理解のある人外レベルでは設定が成り立たず、最終的にハルキは「異世界から地球を侵略しにやってきた超兵器」という設定に落ち着くことになります。これが『翠玉の女神ミーミル』が誕生した経緯です。
・『女神ブリュンヒルデ』について
続いては「おーすおぶ☆ぐりーでぃごっです」の主役であり、シリーズ人気一位のリツこと『女神ブリュンヒルデ』が生まれた経緯です。
リツは「だぶる×ついんず」シリーズ内の他の多くのキャラクターと同じでそもそもTRPGのセッションから生まれたキャラクターであり、「ヒサギに助けを求められて立ち上がるヒーロー」以上の設定は与えられていませんでした。そもそもがバックストーリーを完成させるためにテストプレイした「マージナルヒーローズ」のキャンペーンシナリオで私が自ら作ったキャラクターで、2回目のプレイで別のプレイヤーが引き継ぎという形になり今のリツになりました(ゴーストで登場しているのは引き継ぎ後のリツがベースになっています)。
データとしてはリツは最初はヒートブラッド/ゴールドリッチ/マオウの「経済的な力で戦場をコントロールするヒーロー」だった(この時のリオはリツの従者でリツの能力で変身するという設定は独立したプレイヤーキャラクターになってからも残りました)のですが引き継ぎの際に「『女神』をヴィラン側にのみ配置すると『女神』がヴィランと同じ存在だという印象を受けてしまう。リツもハルキと同系統の力を持っていた方がいいのではないか」と提案があり最終案としてゴッデス/プラトゥーン/フリーゲルスのゴースト内で語られるリツのクラス構成に変更になりました(最終案の直前にだぶる×ついんずのオリジナルクラスを複数作成することになりました)。新しいリツはプラトゥーンのクラスを持っているため「最上位の女神として女神の戦隊を率いる存在」という扱いになり、そこから『ブリュンヒルデ種』としての設定が生まれました(つまりクロノやクイヒなどのブリュンヒルデ種はリツのプレイヤーが考案したキャラクターです)。
・『女神エルドラド』について
次は『女神エルドラド』ことイズハの設定です。彼女のコンセプトは「ハルキを奪還するためにリツが集めた仲間の1人」としてリツの最終案と同じTRPGのセッションで生まれました。
イズハは人間が信仰心によって「女神化」した『アドヴェント種』と呼ばれる個体パターンを持ち、生まれた時から女神として自覚を持って生きているリツよりもより近い立場で「後天的に女神であると自覚した」ハルキと接するキャラクターとしてデザインされています。
余談ですがヒーローが宗教施設を持ち、神として振る舞うという昨今の社会事情的に非常にデリケートなキャラクターなのはプレイヤーも自覚しており、金銭を受け取るルールを厳格にしたりパワーソースとして信仰心を受け取る以上イズハも信徒へのリターンを徹底する演出をするなどの場面が印象的でした(イズハは飲食する必要が無いのでメンコが不自由しない程度の金銭があればいいという設定まで作り込むなど黄金郷周りの設定はかなりリアルに考えられています)。また、この黄金郷の設定はほぼそのままゴーストに流用しています。
・『女神ノルニル』について
最後に紹介するのは『女神ノルニル』ことリドナです。彼女もコンセプトはイズハと同じ「リツが集めた仲間の1人」ですが彼女はメタ的には「カズサちゃん世代に追加された存在である女神の混血児および超龍武装(ドラグアーム)のテストプレイ」用に私が作成したキャラクターです。彼女は一番最後に生まれたキャラクターであり、他のキャラクターほど深いコンセプトも無いため彼女の生まれについて記述しておきます。
彼女ははるか未来(ゴーストでは描写する予定が無いほど未来の話です)においてカズサとミタハの間に生まれた混血児という設定で、彼女が過去に介入することで今の世界が保たれることを予知したミタハの指示で「だぶる×ついんず」の世界に飛ばされてきた経歴を持ちます。(余談ですがミタハおよび親のシンハの元ネタは「ミラダンテ」と言うデュエルマスターズのクリーチャーであり、彼女らも元ネタ同様未来からちょくちょく戻ってきては派手に無双する強キャラです)
必要があるときだけ介入できるように普段は別の世界を開拓する趣味に没頭していますがその客観的に見ると献身的な姿勢がリツからの評判はいいようです(余談ですがリツは自分の血統への親愛の意を示しにくいことを悩んでいるという設定がゴースト内にありますが前述の通りリドナはリツの孫にあたる存在です。リツの自分の血統への親愛の意云々は本能的なものでは無く最高位の女神としての威厳を無意識下で保とうとする彼女の主観によるもの、つまりは克服可能であることを暗に示しています)。
・『女神』のコンセプトと女神と人類の立ち位置について
リツ、ハルキ、イズハが設定を持ち実際に動いていく過程で「ギャグ漫画のキャラクターぐらい不老不死」ぐらいしか決まっていなかった『女神』にも様々な設定が生まれていきましたが、初期からの設定である「人間という文明への侵略者」である事実だけは変わっていません。
人間と契約して物品や能力を与え堕落させる『女神ブリュンヒルデ』
人間に『超人力』をばらまいて進化させる苗床にする『女神ミーミル』
人間に自分の信徒とそれ以外という垣根を生み出す『女神エルドラド』
彼女らはゲーム上のデータ面はさておき設定上はヴィランのころと一切変わらない凶悪な能力を有しています。この世界が女神によって支配されていると言う意味で名付けた世界名「ゴッデス・オーバーライド」(以下GORと表記)に一切の湾曲表現はありません。何をどうやっても絶対に死なない女神を相手に絶対に人類は武力において勝利することはできないのは自明の理です。
では人類は為す術が無いのでしょうか?もし仮にそうなら「だぶる×ついんず」の世界はもっと陰惨な世界になっているでしょう。もちろんGORの人間達は女神に搾取されるだけのか弱い存在では決して無いのです。
不死なる侵略兵器である『女神』に本質的に対抗できるシルバーバレットとして設定したのは「人間が持つ善性」もっと言うなら「他者に対して善く有ろうとする気持ち」としました。例えばリツにはリオ、ハルキにはヒサギやノーバディ、イズハにはメンコのように善性やそれに近いものを持って女神を人間側につなぎ止めている存在を必ず描写するようにしています。女神自身も解説ページにも書いたとおり女神は卑劣な振る舞いをすることが社会的な死に直結するため、本能的に善いことをしたがります。人間が自らの持つ善性で女神を律することができるかがヒーローとヴィランの戦いとはまた別のGORでの戦いなのです。
余談ですが『女神』は人間の悪意に対して非常に敏感であり程度の違いはあれど悪意には悪意で応酬してきます(そもそも能力名に大体『チート』(不正)がついてる種族と悪意の応酬する奴が賢いとは思えません)。例えばリツが「リオに対して酷いことを言ったな!(社会的に)ぶっ殺してやる!」と言うならリオが止めなければ普通に実行します。復讐や悪意の連鎖が不毛なのは決着がつくまでにお互いに限りある時間を延々と消費するからであり、女神の時間は無限なのです。
「だぶる×ついんず」のヒーローとヴィランの戦いはその多くを「にゃんこ大戦争」や「ヤッターマン」のようにどこか牧歌的、悪く言えば間抜けな印象を受けるバタバタした戦いをイメージして描いています。それは私や私のTRPGグループの趣味趣向も当然ありますが「過剰な悪意の応酬を繰り返せば必ず人類(この場合はヒーローヴィラン関係無く女神以外の全ての存在)そのものが敗北する」というGOR固有の事情も関係しているのです。
・最後に
今回は普段「だぶる×ついんず」シリーズに触れていない人でも楽しめるように軽く説明するはずだったのですが割と早い段階で頓挫した上に意外にも筆が乗り中々の長文になってしまいました。今回は初めての伺かアドベントカレンダーの参加と言うことで緊張していますがまた機会があれば参加させていただければ光栄です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
来年もよき伺かライフを。
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